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評論・エッセイ他
更新日:2006年12月1日  


●音楽評論家としてMusica Nova誌(音楽之友社刊)にて執筆中です。
全日本ピアノ指導者協会(PTNA)のHP「面白コンサート日記」にてWebエッセイを残しています。
抜粋です。ご覧下さい。
 Review 音楽評論
「ラン・ランといえば上野の…」
※2002年6月17日(月)19:00 紀尾井ホール
「ショパン様スペインへお旅立ちになる??」
※山田武彦プロデュース ピアノリサイタル 2003年11月27日 めぐろパーシモンホール小ホール
迫明嘉ピアノリサイタル
※2003年9月19日 第一生命ホール
花岡千春ピアノ独奏会
※2003年10月2日 上野文化会館小ホール 〜1930年代のパリ、二つの大戦の狭間で〜
コブリンリサイタル
※2004年6月8日 第一生命ホール
 Essay エッセイ・その他
9thリサイタル紹介記事
※ムジカノーヴァ2006年10月号に紹介記事が掲載されました。
コンサートレビュー(曲目解説)を執筆しました。
※2006年5月26日に行われたウィリアム・チェンピアノコンサートの曲目解説を担当いたしました。
8thリサイタルによせて(2004年8月15日執筆)
※ムジカノーヴァのリサイタルレポートに掲載した文章の転載です。



review


 「ラン・ランといえば上野の…」
 2002年6月17日(月)19:00 紀尾井ホール
今日から「面白コンサート日記」が始まります。皆さんよろしくお願いします。さて、ここで突然ですが、問題です、Q:「ラン・ラン」といえば? 1. 上野動物園に始めてきたパンダの名前。2. 昔、ちょっとヒットしたアイドル歌手「リンリン・ランラン」の右の方で歌っていたラン・ラン。3.中国出身の弱冠20歳の新進ピアニスト。「朗朗=ラン・ラン」。もちろん答えは「3」です。「1」はみんな知っていますよね?「2」とひらめいてしまう私はちょっと異常かな?(年がばれてしまう?)ラン・ランという、とってもユニークな名前の中国のピアニスト。中国人ピアニストの演奏を聞くのは初めてなのでわくわくしてます。さて、どんな演奏を聞かせてくれるのかな?
【プログラム】
ハイドン:ピアノ・ソナタ 第31番 ホ長調 Op.14-5
ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ長調 Op.36
ブラームス:6つの小品 Op.118
チャイコフスキー:ドゥムカ Op.59/ノクターン Op.19-4
バラキエフ:イスラメイ−東洋風幻想曲
アンコールは?
さあ、演奏が始まります。まずは、ハイドン作曲、ピアノソナタ第31番です。第1楽章。出だしの弱音の魅力にひきつけられました。弱音と一口に言うけど、彼の音は本当に多彩な表情に溢れています。よく知っているメロディなのに、「こんな表情が隠されていたのか?」と納得したり、びっくりしたり…。そして第2楽章。これはもう、彼独自の世界という感じ。とんでもなくゆったりとしたテンポであんなにしっかりと「歌」を聞かせることができるとは、すっごい集中力!!第3楽章。生き生きとした晴れやかな表情とユーモアが印象的でした。ピアノを弾くのが楽しそう。底抜けに明るく非常にリズミカルな演奏です。中国の民謡を聞いているみたいでした。「そうだ、彼は中国人なんだ。」と思いました。次はラフマニノフ作曲、ソナタ第2番です。非常に壮大な曲で技巧的にも大変だし、体力も必要な曲です。難解になりすぎてしまったということで作曲者自身が後に改訂版を出したと言う、いわくつき!!さぁ、ラン・ランどうする?第1楽章の冒頭。椅子に座った瞬間に圧倒的な瞬発力で弾き始めて、私たちをびっくりさせました。第一印象ですでに「やられた」って感じです。その後、柔らかく、少し悲しい第2テーマが聞こえてきました。哀愁が漂っていて素敵でした。集中力と弱音の魅力、そして何より彼自身の「歌」への没入に思わず引き込まれてしまいました。しかしそこは「壮大」なラフマニノフ。ず〜っと哀愁に浸ってはいられない!!さぁ、ここから動き出すぞ!という箇所がやってきます。そうなると例の瞬発力で、がんがんいきます。「行くときゃ行くぞ!!」って感じです。こんなに圧倒的に迫ってくる演奏にそうそう出会えるものではないです。背筋が寒くなりました。第2楽章に「僕には昔こんなことがあったんだよ…」なんてラフマニノフが自分のことをゆっくりと話し出す様な所がありました。しっとりと泣ける抑え目の演奏が印象的でした。まだ20歳なのにあんなに深く人生の機微がわかるのかなぁ?と感心しました。でもそんな事言っている私もそんな人間が「古い」わけではないです。一応!!話がそれてしまったけど、次は第3楽章。圧倒的な躍動感、明るさは彼の天性の魅力ですね。最後に向けてのクライマックスはざ〜っと盛り上げてふっと急に弱くなり、又駆け上っていく感じ。そのダッシュ力には胸がすく思いがしました。前半のプロでこんなに盛り上げて疲れないのかな?なんて変な心配をしてしまいました。
さて、後半。
ブラームス作曲の6つの小品、作品118。作曲家としても大成功をおさめたブラームスが、晩年にゆったりと今までの自分を思い返しながら書いた曲です。僕はこの曲が大好きで楽しみにしてました。ブラームスの魅力が凝縮されていて、一曲一曲がまるで小宇宙のようです。若者はどのようにこの曲に対峙するのかな?と興味津々でした。1曲目。冒頭にふさわしい、結構スケールの大きな曲です。彼の演奏は息のなが〜いフレーズが印象的でした。必ず繰り返しをしていましたが、繰り返した2回目はまったく別の表情で弾いてくれました。いろいろな「色」を見つけ出せるあたり、只者ではないって感じです。そして2曲目。非常に歌う曲です。私は、このブラームスのメロディに「男のロマン」を感じます。彼はそんなメロディを優しく豊かな音で歌います。同じフレーズが繰り返される所でどんどん弱くしていって、「えっ、そんなに弱くしちゃうと、そのあと繰り返したときはどうするのかな?」と余計な心配をしてしまう位の所もありました。でも弱音の中にも多様な表情を持つ彼は、全然大丈夫。ファンタジーな世界を作り出していました。一転してリズミカルな3曲目は、圧倒的なリズム感で弾きこなします。4曲目は、はっとして、ドキッとして、わくわくしてそして少し悲しい魅力的な演奏でした。中間部では長いペダリングがまるでベールのような響きを作り出し、とっても美しかったです。5曲目。やさしい歌が聞こえてきました。中間部はまさにパラダイスって感じです。あんなに明るく、そう、底抜けに明るく弾ける人はそんなにいないと思います。躊躇が全くなく、さわやかでした。6曲目は一転して人生の秋というイメージでした。季節で言うと冬かな?ふ〜っとどこからともなく吹いてくる冷たい風、落ち葉がひらひらというかんじです。とっても柔らかな音が一陣の風の様に聞こえてきました。さむ〜くなりました。エンディングは彼がプログラムに「すべてが破壊されて終わる…」と書いている様に、まさにすべてを失った時の「慟哭」を現していると私も思います。この最後の部分の彼の思い入れは本当にすごかったです。悲しさに息が詰まってしまいました。
そしてチャイコフスキー作曲の「ドゥムカ」です。楽しく踊りまくる感じです。前の曲とのコントラストはきっちり計算していたと思います。彼は運動神経が抜群で、踊りも上手なのでは?と思えるほど、リズムの切れがすばらしいかったです。又、歌い方が非常に明るく「京劇」を見ているみたいでした。難しいパッセージも全然気にせず、軽々と弾きこなす姿は本当に見事でした。次はショパンのノクターン第8番は夜のイメージ、豊かな歌が印象的でした。ここで一息ついた感じでしょうか?最後はバラキレフの「イスラメイ」です。聞いていて、すぐわかるくらい、超難しい曲です。でも、彼の演奏は全然難しそうじゃない!!涼しい顔で弾いています。憎いやつ!!その上まだ飽き足らず?エンディングに向けて更にアクセルを踏みまくるのです。そのエネルギーのほとばしりに思わず熱狂してしまいました。最後は「わぁ!!」とおもわず拍手してしまいました。
そして、エンディング。
最後の音を弾きおえた時、すでに彼は立ちあがっていました。そして両手で勝利のVサインです。めちゃめちゃ明るい人なんですね。その後アンコールになったんですが、日本の唱歌、「雨降り」を弾いてくれました。確か歌詞は「ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、ランランラン」でしたよね?ん〜?自分の名前の入った曲を弾くあたり、明るい上、かなりお茶目な人なんですね?その後も、まだまだピアノが弾きたくてしょうがないという感じで、「みんながたくさん拍手してくれたら、もっと弾くけどどうする?」と子供のように聴衆とのやり取りを楽しんでいました。その後弾いたスクリャービンのエチュード作品8-12はもう最初から全開でぶっ飛ばしている感じです。まだあんなにエネルギーが残っていたのか?とびっくりしました。最後まで聞いて思ったこと。しっかりと西洋音楽を吸収した上での、中国人としての感覚、母国への強い想いがユニークな演奏に繋がっていたと思います。アンコールの時見せた明るさ、演奏中の顔の表情は非常に魅力的でした。2時間があっという間でした。観客の皆さんもみんな満足そうでした。帰りには笑顔が溢れてました。一聴の価値ありです。みなさんも機会があったら「ラン・ラン」の演奏を聴いてみませんか?


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 「ショパン様スペインへお旅立ちになる??」
 山田武彦プロデュース ピアノリサイタル(2003年11月27日めぐろパーシモンホール小ホール)
山田武彦プロデュース ピアノリサイタル「増殖する三夜」を聞きに行って来ました。「神様の悪戯」「今は亡き大作曲家たちが集結…」。このタイトル、何だか、怪しい感じしませんか?誘ってくださる方がいなかったら、私は多分出かけていなかったコンサートでした。でも、始めから、結論めいてしまうけど、とっても面白かったのです。まさに面白コンサート日記だぁ!!すみません。調子に乗りすぎですよね?まずは、演奏者のご紹介。山田武彦さん。ピアニスト・作曲家。東京芸大大学院で作曲を学び、給費でパリのコンセルバトワールに留学。ピアノ伴奏科を首席で卒業。現在伴奏者としても活躍中。このプロフィールから感じる「クラシックの伴奏スペシャリスト」というイメージは、萱谷さんと「準備即興」を演奏している姿で、すでに崩れ去りました。しかも、後半はロックンロール、バリバリのお兄ちゃんの姿で出てくる人です。途中ではピアニカの腕前?も披露してくれました。萱谷亮一さん。打楽器奏者。東京芸大卒。でもこの方、何でも「叩いてしまう」人です。最後の「整理即興」では、コントで人を殴るときに使う、プラスチックでできた大きな赤いハンマーで何か叩いていました。
そんなお二人の演奏会のプログラムは
・準備即興
柿の木坂のホールなので、演歌「柿の木坂の家」??のメロディーで
・ヴィヴァルディ:四季より「冬」
1楽章は、ティンパニーが嵐を演出。
2楽章は、途中で吹雪の音がするホイッスルも活躍。(そんなホイッスルがあるんですね。)3楽章ではお菓子の箱によく入っている、空気の入った丸いぽっちんをつぶして焚き火の火のパチパチという音を出していた。
・ベートーヴェン:ピアノソナタ32番―あとで。
・ショパン:子守唄 a la Spanish―あとで。
・ストラヴィンスキー:春の祭典
ロック調。この演奏に合わせて、後半はお二人ともロックのお兄ちゃん風のスタイルで登場。萱谷さんもターミネーターのシュワちゃんのようなサングラスで登場。春祭がロックリズム(単純な4拍子)にはまってしまうのを再発見。ぼっーっとしていると彼らの演奏は本編から外れて、ノリの世界に入っていたりする。だから気が抜けない。例の11連符のところは25連発くらいテンパッて弾いていた。
・最後の整理体操!!じゃなかった。整理即興。
その中で特に興味がわいたのは、ベートーヴェンとショパンです。
ベートーヴェン、32番のソナタ。この作品は彼の最高傑作でもあり、人間の到達しうる高みを現出させた珠玉の名作である。(こんな文を書くと評価家っぽいでしょ??)しかし、この曲を決して馬鹿にしているのではなく、かなり真面目にしかしブギブギにしてしまいました。あまりに面白かったので、実況中継っぽく…。まず、ピアノが厳かに第1楽章を始めた。そして序奏が終わった瞬間、なんと、ボンゴが同じ様に序奏を演奏し始めたのだ。忠実に演奏していることが音からも感じられ、シリアスなのに可笑しいという何とも不思議な状況に陥ってしまう。その後もピアノとボンゴが真剣に語り合うのだが、それが何とも奇妙で、しかも驚きと発見の連続である。極めつけは2楽章の第3変奏で起こった。なんとブギブギ(チャンッカチャンッカ…というお祭りのお囃子のリズム・チンドン屋でよく聞いたリズム)になってしまった。まさに「神様の悪戯」だ。しかし、最後は大作曲家に敬意を表して終わった。
ショパン、子守唄。
山田さんのMC。
「忙しかったショパンはきっとスペインへも行きたかっただろう。じゃ、今日はショパン様をスペインにお連れしましょう。」ということで始まりました。リズムオスティナートがスペイン風というか、Spanishダンスのリズム。コード進行はチックコリア(Jazz pianist)の名作「ラ・フィエスタ」に近い感じ。そんなノリノリのリズムに乗って、子守唄の右手が聞こえてきました。ちょっとコード進行が無理っぽいところもあったけど、これはもう、ショパンではなく、山田武彦の音楽でした。個人的に好きなジャンルだったのも影響していると思うけど、うきうき、わくわくで聞けました。
最後に。
山田武彦さまへ。(読んでくれるかな?)
とっても楽しかったです。でも、ロックのお兄ちゃんの化粧はちょっと…でした。大槻ケンジさんの様にはなかなかいかないですね。ソロのPerformerとしてご出演のときは、ぜひ、Entertainerにふさわしい芸名を付けることをお勧めします。本名だと、どうも演奏が想像できません。スパニッシュ・ヤマダとか…。でも、とにかく楽しめました。ありがとうございました。


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 迫明嘉ピアノリサイタル
 2003年9月19日 第一生命ホール
迫氏のベートーヴェンソナタ全曲チクルスのファイナルを聞く。曲は13番「幻想風ソナタ」。19、20番の易しいソナタ。そして22番。フィナーレは32番である。
迫氏は全曲チクルスも今回が2回目という。それ程迄の氏のベートーヴェンへの想いが今宵の演奏会を比類なきものとした。
指揮者としても活躍中という経歴からも頷ける迫氏の楽曲を大局的に俯瞰する能力の高さはピアニストとしては稀有なレベルと言える。楽曲の構成、和声的な流れの中に、作曲家の意図を汲み取り、そのニュアンスを自己の意識の中で再構成して表現する能力の高さ、緻密で情熱的な演奏でありながら、全体の構成にも意識を向けられるキャパシティーの大きさが彼の魅力である。
前半の13番や易しいソナタの様な、構成も単純で軽いイメージの曲では、論理的な展開に終わらず、微細なニュアンスの変化に対して意識を傾けながら「遊び心」を持って取り組んだほうが良い結果が得られただろう。
後半、特にフィナーレの32番は、全曲チクルスを締めくくるにふさわしい至高の演奏。第一楽章の情熱的で高揚したアプローチも全曲を通して聞いてみると「なるほど」と頷けた。第2楽章においては、ベートーヴェンの全ての音楽の凝縮といえるも小宇宙が氏の共感と慈しみと共に「冷静」に具現されていた。精神的な高みへと登りつめるバイタリティーを持つ氏ならではの「若々しい」演奏に酔いしれた。


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 花岡千春ピアノ独奏会
 〜1930年代のパリ、二つの大戦の狭間で〜 2003年10月2日 上野文化会館小ホール
テーマ性の高い演奏会を続けている中堅ピアニストである花岡の「独奏会」を聞く。プログラムは前半にミヨー、メシアン、ルーセル、ジャン・フランセの小品を排し、後半はパリ1937年の万博の折、マングリット・ロンに献呈された作品集である「万博にて」が演奏された。オーリック、ドラノイア、イベール、ミヨー、プーランク、シュミット、タイユフェールの作品が並ぶ。
花岡の洗練された趣味の良い演奏が、親近感と知的な好奇心に満たされた至福の時へと我々を誘った。非常に優しく、しかし情に流されることのないアプローチとユーモアを忘れない彼の無邪気さによって難解な曲すらも、さらりと受け入れやすい形で提示された。
前半。プログラミングも彼のオリジナルだと思われるが、全ての曲がそれぞれの役割を与えられており、対比も良くなされていて、楽しく、心に残る演奏だった。メシアンとミヨーの響きの相違も楽しめた。時に、東洋的なイメージを聞こえてきたし、最後のフランセ、「若い娘達の五枚の肖像」からの抜粋では30年代特有ともいえるロマンチシズムも感じられた。フランセには後半への橋渡しとして役割もあったのかも知れない。
後半。自然な流れと響きへのセンシビリティー、冷静さと内向的な心の優しさという、相反する要素が彼の演奏では不思議と矛盾せず存在していた。多くの要素・イメージが渾然一体とまとまった味わい深い演奏の中に花岡独自の世界を垣間見ることができた。


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 コブリンリサイタル
 2004年6月8日 第一生命ホール
第5回浜松国際ピアノコンクールでの最高位が記憶に新しいコブリンのリサイタルを聞く。ハイドン、「ソナタ第29番ヘ長調Hob.16/29」シューベルト「ソナタ 第16番 イ短調 D.845」スクリャービン「ソナタ第2番嬰ト短調Op.19(幻想)ラフマニノフ「音の絵Op.33全曲」というもの。
前半。新進気鋭のコブリンならではというレベルの高い演奏が続く。ふっとした瞬間にゾクッとする様な美しさを魅せるあたりに、彼の天性の感覚が垣間見られる。しかし、解釈は非常にオーソドックス。決して奇を衒うものではなく、正統的な解釈を突き詰めた結果得られる極上の演奏という印象。
後半は、彼の母国であるロシアの作曲家であり、演奏スタイルはより彼自身の個人的な感覚に委ねられていた。スクリャービンは特に圧巻だった。大胆な解釈と圧倒的なテクニック。まさに記憶に残る名演といえよう。この演奏を聞くと、前半は抑え目だったのでは?とすら思えてきた。ラフマニノフも彼ならではという感動が溢れていた。難曲の続く音の絵を一気に弾きこなすというプログラミングも影響したのか、後半は少し疲れていた様だ。
コブリンは、ツアーピアニストとしての活躍も予感させる逸材である。23歳とは思えない完成された演奏スタイルに誰もが目を見張った。母国の作品に魅せた大胆な解釈とシューベルト等で魅せた正統的な解釈という2つのアプローチが渾然一体化されて、彼の演奏スタイルと変化していくのであろうか。これからも足を運びたくなる演奏家だった。


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essay


 9thリサイタルの紹介記事
 ムジカノーヴァ2006年10月号に紹介記事が掲載されました。
9thリサイタル


 コンサートレビュー(曲目解説)を執筆しました。
 2006年5月26日に行われたウィリアム・チェンピアノコンサート曲目解説を担当いたしました。主催:(株)マツイシ楽器店
コンサートレビュー


 8thリサイタルによせて
 ムジカノーヴァのリサイタルレポートに掲載した文章の転載です。 2004年8月15日執筆
今回は、モーツアルトのロンドイ短調K511、ソナタハ長調K330、ベートーヴェンのソナタ15番「田園」、ブラームスの3つの間奏曲作品117、幻想曲集作品116を取り上げます。このコンサートは、今年の2月に突然急逝された、恩師であるウラジーミル竹之内先生への追悼の気持ちで企画させていただきました。先生には国立音楽大学の時代から20年以上指導して頂きました。先生から頂いた、たくさんの音楽的なアドヴァイス、人生の師としてのお言葉は今の私の根幹になすものです。語りつくせない沢山の思い出と感謝の気持ちを託して演奏させていただきたいと思っています。モーツアルトのロンドは、先生への追悼の気持ちを込めて演奏させていただきたいと思っています。ハ長調のソナタには、ユーモア溢れる先生との楽しかった思い出を込めて演奏したいと思っています。後半は、今まで演奏をほとんどしていなかったベートーヴェン・ブラームスを取り上げることになりました。今、ベートーヴェンのソナタ15番「田園」第1楽章の美しい響きに魅せられています。その美しい響きを大切にして気張らずに自然体でアプローチしたいと思っています。ブラームスの3つの間奏曲では、リリックで穏やかなイメージを表現したいと思っています。幻想曲集では、ブラームスのロマンティシズムを彼と同じ男性としての共感を元にして追い求めて行きたいと思っています。


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