| 「ラン・ランといえば上野の…」 |
| 2002年6月17日(月)19:00 紀尾井ホール |
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今日から「面白コンサート日記」が始まります。皆さんよろしくお願いします。さて、ここで突然ですが、問題です、Q:「ラン・ラン」といえば? 1.
上野動物園に始めてきたパンダの名前。2. 昔、ちょっとヒットしたアイドル歌手「リンリン・ランラン」の右の方で歌っていたラン・ラン。3.中国出身の弱冠20歳の新進ピアニスト。「朗朗=ラン・ラン」。もちろん答えは「3」です。「1」はみんな知っていますよね?「2」とひらめいてしまう私はちょっと異常かな?(年がばれてしまう?)ラン・ランという、とってもユニークな名前の中国のピアニスト。中国人ピアニストの演奏を聞くのは初めてなのでわくわくしてます。さて、どんな演奏を聞かせてくれるのかな? |
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| 【プログラム】 |
| ハイドン:ピアノ・ソナタ 第31番 ホ長調 Op.14-5 |
| ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ長調 Op.36 |
| ブラームス:6つの小品 Op.118 |
| チャイコフスキー:ドゥムカ Op.59/ノクターン Op.19-4 |
| バラキエフ:イスラメイ−東洋風幻想曲 |
| アンコールは? |
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| さあ、演奏が始まります。まずは、ハイドン作曲、ピアノソナタ第31番です。第1楽章。出だしの弱音の魅力にひきつけられました。弱音と一口に言うけど、彼の音は本当に多彩な表情に溢れています。よく知っているメロディなのに、「こんな表情が隠されていたのか?」と納得したり、びっくりしたり…。そして第2楽章。これはもう、彼独自の世界という感じ。とんでもなくゆったりとしたテンポであんなにしっかりと「歌」を聞かせることができるとは、すっごい集中力!!第3楽章。生き生きとした晴れやかな表情とユーモアが印象的でした。ピアノを弾くのが楽しそう。底抜けに明るく非常にリズミカルな演奏です。中国の民謡を聞いているみたいでした。「そうだ、彼は中国人なんだ。」と思いました。次はラフマニノフ作曲、ソナタ第2番です。非常に壮大な曲で技巧的にも大変だし、体力も必要な曲です。難解になりすぎてしまったということで作曲者自身が後に改訂版を出したと言う、いわくつき!!さぁ、ラン・ランどうする?第1楽章の冒頭。椅子に座った瞬間に圧倒的な瞬発力で弾き始めて、私たちをびっくりさせました。第一印象ですでに「やられた」って感じです。その後、柔らかく、少し悲しい第2テーマが聞こえてきました。哀愁が漂っていて素敵でした。集中力と弱音の魅力、そして何より彼自身の「歌」への没入に思わず引き込まれてしまいました。しかしそこは「壮大」なラフマニノフ。ず〜っと哀愁に浸ってはいられない!!さぁ、ここから動き出すぞ!という箇所がやってきます。そうなると例の瞬発力で、がんがんいきます。「行くときゃ行くぞ!!」って感じです。こんなに圧倒的に迫ってくる演奏にそうそう出会えるものではないです。背筋が寒くなりました。第2楽章に「僕には昔こんなことがあったんだよ…」なんてラフマニノフが自分のことをゆっくりと話し出す様な所がありました。しっとりと泣ける抑え目の演奏が印象的でした。まだ20歳なのにあんなに深く人生の機微がわかるのかなぁ?と感心しました。でもそんな事言っている私もそんな人間が「古い」わけではないです。一応!!話がそれてしまったけど、次は第3楽章。圧倒的な躍動感、明るさは彼の天性の魅力ですね。最後に向けてのクライマックスはざ〜っと盛り上げてふっと急に弱くなり、又駆け上っていく感じ。そのダッシュ力には胸がすく思いがしました。前半のプロでこんなに盛り上げて疲れないのかな?なんて変な心配をしてしまいました。 |
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| さて、後半。 |
| ブラームス作曲の6つの小品、作品118。作曲家としても大成功をおさめたブラームスが、晩年にゆったりと今までの自分を思い返しながら書いた曲です。僕はこの曲が大好きで楽しみにしてました。ブラームスの魅力が凝縮されていて、一曲一曲がまるで小宇宙のようです。若者はどのようにこの曲に対峙するのかな?と興味津々でした。1曲目。冒頭にふさわしい、結構スケールの大きな曲です。彼の演奏は息のなが〜いフレーズが印象的でした。必ず繰り返しをしていましたが、繰り返した2回目はまったく別の表情で弾いてくれました。いろいろな「色」を見つけ出せるあたり、只者ではないって感じです。そして2曲目。非常に歌う曲です。私は、このブラームスのメロディに「男のロマン」を感じます。彼はそんなメロディを優しく豊かな音で歌います。同じフレーズが繰り返される所でどんどん弱くしていって、「えっ、そんなに弱くしちゃうと、そのあと繰り返したときはどうするのかな?」と余計な心配をしてしまう位の所もありました。でも弱音の中にも多様な表情を持つ彼は、全然大丈夫。ファンタジーな世界を作り出していました。一転してリズミカルな3曲目は、圧倒的なリズム感で弾きこなします。4曲目は、はっとして、ドキッとして、わくわくしてそして少し悲しい魅力的な演奏でした。中間部では長いペダリングがまるでベールのような響きを作り出し、とっても美しかったです。5曲目。やさしい歌が聞こえてきました。中間部はまさにパラダイスって感じです。あんなに明るく、そう、底抜けに明るく弾ける人はそんなにいないと思います。躊躇が全くなく、さわやかでした。6曲目は一転して人生の秋というイメージでした。季節で言うと冬かな?ふ〜っとどこからともなく吹いてくる冷たい風、落ち葉がひらひらというかんじです。とっても柔らかな音が一陣の風の様に聞こえてきました。さむ〜くなりました。エンディングは彼がプログラムに「すべてが破壊されて終わる…」と書いている様に、まさにすべてを失った時の「慟哭」を現していると私も思います。この最後の部分の彼の思い入れは本当にすごかったです。悲しさに息が詰まってしまいました。 |
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| そしてチャイコフスキー作曲の「ドゥムカ」です。楽しく踊りまくる感じです。前の曲とのコントラストはきっちり計算していたと思います。彼は運動神経が抜群で、踊りも上手なのでは?と思えるほど、リズムの切れがすばらしいかったです。又、歌い方が非常に明るく「京劇」を見ているみたいでした。難しいパッセージも全然気にせず、軽々と弾きこなす姿は本当に見事でした。次はショパンのノクターン第8番は夜のイメージ、豊かな歌が印象的でした。ここで一息ついた感じでしょうか?最後はバラキレフの「イスラメイ」です。聞いていて、すぐわかるくらい、超難しい曲です。でも、彼の演奏は全然難しそうじゃない!!涼しい顔で弾いています。憎いやつ!!その上まだ飽き足らず?エンディングに向けて更にアクセルを踏みまくるのです。そのエネルギーのほとばしりに思わず熱狂してしまいました。最後は「わぁ!!」とおもわず拍手してしまいました。 |
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| そして、エンディング。 |
| 最後の音を弾きおえた時、すでに彼は立ちあがっていました。そして両手で勝利のVサインです。めちゃめちゃ明るい人なんですね。その後アンコールになったんですが、日本の唱歌、「雨降り」を弾いてくれました。確か歌詞は「ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、ランランラン」でしたよね?ん〜?自分の名前の入った曲を弾くあたり、明るい上、かなりお茶目な人なんですね?その後も、まだまだピアノが弾きたくてしょうがないという感じで、「みんながたくさん拍手してくれたら、もっと弾くけどどうする?」と子供のように聴衆とのやり取りを楽しんでいました。その後弾いたスクリャービンのエチュード作品8-12はもう最初から全開でぶっ飛ばしている感じです。まだあんなにエネルギーが残っていたのか?とびっくりしました。最後まで聞いて思ったこと。しっかりと西洋音楽を吸収した上での、中国人としての感覚、母国への強い想いがユニークな演奏に繋がっていたと思います。アンコールの時見せた明るさ、演奏中の顔の表情は非常に魅力的でした。2時間があっという間でした。観客の皆さんもみんな満足そうでした。帰りには笑顔が溢れてました。一聴の価値ありです。みなさんも機会があったら「ラン・ラン」の演奏を聴いてみませんか? |
| 「ショパン様スペインへお旅立ちになる??」 |
| 山田武彦プロデュース ピアノリサイタル(2003年11月27日めぐろパーシモンホール小ホール) |
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山田武彦プロデュース ピアノリサイタル「増殖する三夜」を聞きに行って来ました。「神様の悪戯」「今は亡き大作曲家たちが集結…」。このタイトル、何だか、怪しい感じしませんか?誘ってくださる方がいなかったら、私は多分出かけていなかったコンサートでした。でも、始めから、結論めいてしまうけど、とっても面白かったのです。まさに面白コンサート日記だぁ!!すみません。調子に乗りすぎですよね?まずは、演奏者のご紹介。山田武彦さん。ピアニスト・作曲家。東京芸大大学院で作曲を学び、給費でパリのコンセルバトワールに留学。ピアノ伴奏科を首席で卒業。現在伴奏者としても活躍中。このプロフィールから感じる「クラシックの伴奏スペシャリスト」というイメージは、萱谷さんと「準備即興」を演奏している姿で、すでに崩れ去りました。しかも、後半はロックンロール、バリバリのお兄ちゃんの姿で出てくる人です。途中ではピアニカの腕前?も披露してくれました。萱谷亮一さん。打楽器奏者。東京芸大卒。でもこの方、何でも「叩いてしまう」人です。最後の「整理即興」では、コントで人を殴るときに使う、プラスチックでできた大きな赤いハンマーで何か叩いていました。 |
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| そんなお二人の演奏会のプログラムは |
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| ・準備即興 |
| 柿の木坂のホールなので、演歌「柿の木坂の家」??のメロディーで |
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| ・ヴィヴァルディ:四季より「冬」 |
| 1楽章は、ティンパニーが嵐を演出。 |
| 2楽章は、途中で吹雪の音がするホイッスルも活躍。(そんなホイッスルがあるんですね。)3楽章ではお菓子の箱によく入っている、空気の入った丸いぽっちんをつぶして焚き火の火のパチパチという音を出していた。 |
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| ・ベートーヴェン:ピアノソナタ32番―あとで。 |
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| ・ショパン:子守唄 a la Spanish―あとで。 |
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| ・ストラヴィンスキー:春の祭典 |
| ロック調。この演奏に合わせて、後半はお二人ともロックのお兄ちゃん風のスタイルで登場。萱谷さんもターミネーターのシュワちゃんのようなサングラスで登場。春祭がロックリズム(単純な4拍子)にはまってしまうのを再発見。ぼっーっとしていると彼らの演奏は本編から外れて、ノリの世界に入っていたりする。だから気が抜けない。例の11連符のところは25連発くらいテンパッて弾いていた。 |
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| ・最後の整理体操!!じゃなかった。整理即興。 |
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| その中で特に興味がわいたのは、ベートーヴェンとショパンです。 |
| ベートーヴェン、32番のソナタ。この作品は彼の最高傑作でもあり、人間の到達しうる高みを現出させた珠玉の名作である。(こんな文を書くと評価家っぽいでしょ??)しかし、この曲を決して馬鹿にしているのではなく、かなり真面目にしかしブギブギにしてしまいました。あまりに面白かったので、実況中継っぽく…。まず、ピアノが厳かに第1楽章を始めた。そして序奏が終わった瞬間、なんと、ボンゴが同じ様に序奏を演奏し始めたのだ。忠実に演奏していることが音からも感じられ、シリアスなのに可笑しいという何とも不思議な状況に陥ってしまう。その後もピアノとボンゴが真剣に語り合うのだが、それが何とも奇妙で、しかも驚きと発見の連続である。極めつけは2楽章の第3変奏で起こった。なんとブギブギ(チャンッカチャンッカ…というお祭りのお囃子のリズム・チンドン屋でよく聞いたリズム)になってしまった。まさに「神様の悪戯」だ。しかし、最後は大作曲家に敬意を表して終わった。 |
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| ショパン、子守唄。 |
| 山田さんのMC。 |
| 「忙しかったショパンはきっとスペインへも行きたかっただろう。じゃ、今日はショパン様をスペインにお連れしましょう。」ということで始まりました。リズムオスティナートがスペイン風というか、Spanishダンスのリズム。コード進行はチックコリア(Jazz pianist)の名作「ラ・フィエスタ」に近い感じ。そんなノリノリのリズムに乗って、子守唄の右手が聞こえてきました。ちょっとコード進行が無理っぽいところもあったけど、これはもう、ショパンではなく、山田武彦の音楽でした。個人的に好きなジャンルだったのも影響していると思うけど、うきうき、わくわくで聞けました。 |
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| 最後に。 |
| 山田武彦さまへ。(読んでくれるかな?) |
| とっても楽しかったです。でも、ロックのお兄ちゃんの化粧はちょっと…でした。大槻ケンジさんの様にはなかなかいかないですね。ソロのPerformerとしてご出演のときは、ぜひ、Entertainerにふさわしい芸名を付けることをお勧めします。本名だと、どうも演奏が想像できません。スパニッシュ・ヤマダとか…。でも、とにかく楽しめました。ありがとうございました。 |